距離感を楽しむボイスドラマ キャンプフォーリー
タイトル:秋のキャンプ場で出会った、まだ誰かのものな君 ―松崎静香―
製作者:テグラユウキ
CV:秋野かえで / 涼花みなせ
価格:1320円
公開日:2020年6月27日
作品時間:2時間30分
【作品の概要】
幼馴染二人と来たキャンプ。焚火を囲んでマシュマロを焼いたりコーヒーを淹れて過ごしていた。そんななか、まゆが席をはずしたことでまどかと幼馴染の関係から少しずつ進んでいく。
サークル:テグラユウキが販売している唯一の全年齢作品。キャンプをテーマにした作品は他にもありますが、大体は主人公とヒロインの1対1の会話劇が多いのに対し、複数人が登場する珍しい作品となります。
内容としては昔からの幼馴染3人がキャンプを楽しむ中、昔からこちらのことを好きだったまどかが決心して告白してきて・・・というものとなります。もちろんキャンプ作品であるため焚火の音は肉を焼く音、コーヒー豆を挽く音といったものは売りの一つですが、一番はまどかとの距離感の変化です。これまで幼馴染として過ごしてきた相手と恋人になるために意を決して告白し、恋人同士となったことで変わった距離感への戸惑いと初々しさを楽しむものとなります。
ちなみにヒロイン2名なので修羅場なシーンがあるのではないかと懸念されるかもしれませんが、もう一人の幼馴染であるまゆはすでに彼氏持ちであり、まどかに対しては「いいかげんはよくっつけや」という想いしかないので心配ありません。
【キャラクターの評価】
まどかから告白を受けて恋人になる話であるため、まどかのほうがセリフ量が多くなっています。まどかはギャルと説明されていますが、話し方自体は明るい女性といった程度でそこまでギャル要素はありません。社会人であるため言動もある程度落ち着いています。
もう一人の登場人物であるまゆも大人しいタイプと書いてありますが、テンション感はあまりまどかと変わりません。3人揃う場面での会話パートが昼寝明けで夜ということもありあまりテンションが高くないということもありますが、何度もキャンプに来ているので慣れ切っているということもあります。良くも悪くも落ち着いているのであまりキャラクターを楽しむ作品ではありません。
【ストーリー・表現の評価】
この作品はバイノーラルとしての音の遠近感はあまり感じられません。その理由としては空間の中での動きが無く、全体を通してテントスペース内のみで終わるためです。キャラクター達もほとんど動かないため、川のせせらぎや小鳥のさえずりといったものはもちろん、音源からの距離の変化もないため、ASMRとしては機能してもあまり音が動いていません。
その代わりこの作品はまどかと恋人になるまでのもどかしい会話、そして恋人になったあとの距離感の変化にどぎまぎする二人を楽しむものとなります。会話のテンポが他の作品の3倍くらいかかってます。
会話の特徴として、この作品の会話は非常に間が多くなっています。特に後半の告白パートではまどかがなかなか好きということを伝えるのに勇気が出ず、いくつも念を押し、遠回しな告白で様子を探ることを何度も繰り返します。この距離感の変化や掴みを楽しむのが今作品のコンセプトですが、なかなか告白にまでいかないためどうしてもストーリーの展開の動きが遅くなっており、間の多さも相まって動画時間よりも長く感じる方もいるかもしれません。恋人になってからもキスにいくまでにもまたどぎまぎとした展開があるので、このテンポは恋人になれば変わるかと思いきや、最後までこの間の多いテンポです。
【評価】
長い間友人である二人がその距離感に戸惑いながらも少しずつ恋人になっていくという距離感や関係性の変化を楽しみたいという方にはお勧めです。ただ間が非常に独特のため、展開もゆっくり、ASMRとしても刺激が少ないため、これが初めての作品なのはお勧めしません。たくさんのボイスドラマやASMRを経験したうえで聞くとかえって新鮮だなと感じられてより楽しむことが出来ます。
このため評価は人を選ぶためB評価となります。ちなみにこの続編が7月に発売されていますが、そちらはがっつりR-18作品なのであしからず。